網膜静脈閉塞症(RVO)は虚血の程度・範囲によって視機能予後が異なります。いわゆる非虚血型であれば自然回復により視力1.0以上が保てる場合もありますし、虚血型であれば血管新生が生じて硝子体出血や血管新生緑内障(網膜中心静脈閉塞症の場合)を発症してしまいます。
RVOに対するレーザー光凝固治療については、黄斑浮腫治療、硝子体出血予防の観点から海外で多施設研究が行われ、一定の指針が打ち出されています。しかし日常診療でその指針通りに行うのは必ずしもたやすくありません。近年、抗VEGF剤の登場により、RVOの治療方針は大きく変化しました。とはいえこの治療法は保険適応がなく、多数の患者に容易に行えないのが実情です。そのため病状に応じた治療方法の判断がますます重要になってきます。フルオ蛍光眼底造影検査(FA)はRVOの虚血範囲を検出するのに有用ですが、発症早期で網膜出血が多量にあると無潅流域の有無を判定できません。さらにアナフィラキシーショックの心配もあり、できることならば行いたくない検査です。そんな中で虚血部位の有無を判定する一助として、患者負担が軽く、頻回に実施できる静的視野検査が有用です。
今回は、一般診療においてRVO患者に遭遇した場合のマネージメントについて、静的視野検査をFAに変わって活用する方法を交えてお話ししたいと思います。