現在眼科領域で最も汎用されている抗菌点眼薬はニューキノロン系点眼薬である。その理由としては、眼感染症起炎菌に対して広い抗菌スペクトルを有するだけでなく、強い抗菌力を有しているからである。また、近年は組織移行性の高いニューキノロン系抗菌点眼薬も登場しており、臨床の立場からは有難い限りである。しかしながら、ニューキノロン系抗菌点眼薬を漫然と使用することは適切な点眼薬の選択を見誤らせる危険性を孕んでいるだけでなく、近年話題の耐性菌獲得等の問題をも含んでいる。
本講演では、これらの問題を解決するために必要な「抗菌力と組織移行性」に関して、またニューキノロン抗菌点眼薬の作用メカニズムについて言及する。また実際の使用経験もふまえた上での適切な薬剤選択について解説したい。