第239 長野県眼科医会集談会 特別講演

これからの日本の医療を考える 医療政策−課題と展望−

吉田 統彦

 日本の医療は今まさに崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではない。医療財政難、過疎地の医師不足、各科の医師の偏在、医療従事者の過重労働、ワクチン行政のガラパゴス化、ドラッグ・デバイスラグ、医療過誤への対処など解決しなければならない問題は数多い。
 これらを改善するためには医療制度の変更は必要不可欠であろう。
 しかしながら、日本の医療の諸問題は、日本の医療が他国に比べて劣っているために起きているのだろうか。いや、むしろ日本の医療は質が高く安価であり、医療技術に関して言えば世界随一である。それにも関わらず、日本の医療が崩壊の危機に瀕し、日本国民が医療に対して不信や不安を抱いているのはなぜだろうか。
 医療と政治は密接不可分の関係にある。日本国民の生命と健康を守り、医療への信頼を取り戻す鍵は政治と行政が握っている。そして、日本の医療政策は今まさに岐路に立っている。
 医療政策の現状と課題を読み解き、今後のあるべき医療政策を展望する。