第15回甲信セミナー 第30回 ・ 信州臨床眼科研究会 ・ 第241回長野県眼科医会集談会 特別講演

緑内障治療 最近の話題

熊本大学 眼科教授 谷原 秀信

 緑内障治療において、薬物療法と手術療法において、大きな変化を遂げつつある。緑内障の薬物療法は、2010年に3種類の配合剤と、20数種類のラタノプロスト後発品が市場に導入された。これにより、緑内障に対する処方は、非常に大きな変化を生じる事になる。配合剤の使用によって、良好なアドヒアランスを少ない点眼回数で得る事ができることには大きな意義がある。その中で、現在の緑内障薬物療法において、1st line drugやfull medicationの考え方をあらためて見直すことになる。さらに、薬物療法から手術療法へシフトするタイミングについても、配合剤の導入によって影響を受けるであろう。配合剤の導入によって、アドヒアランスの変化、最大耐用量の考え方、薬物療法の処方指針などを十分に承知した上で、手術に踏み切るタイミングを決定すべきである。これらを受けて、日本緑内障学会の診療ガイドラインは、新た改訂作業がなされている。
 さらに手術療法では、白内障手術の位置づけが大きな論点になっている。原発閉塞隅角緑内障の管理での水晶体摘出の意義の再認識、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の緑内障眼における位置づけ、緑内障眼の経過観察における水晶体摘出の注意点、緑内障手術への影響などが注目されている。
 本講演では、これらの緑内障治療における最近の話題について解説したい。