第244回長野県眼科医会集談会 特別講演

硝子体手術の新しい流れ

名古屋市立大学 眼科学教授 小椋 祐一郎

 硝子体手術は、経結膜的にカニューラを留置して、創口の縫合も必要でない極小切開硝子体手術が主流となりつつある。極小切開硝子体手術には25ゲージと23ゲージのものがあるが、開発当初の器具と比べ、剛性や品質が飛躍的に改善され、25ゲージの器具でほぼすべての症例に対処することが可能となってきている。トロッカー・カニューラシステムの改良により、創口の閉鎖不全が減少し、術後の低眼圧も激減している。硝子体カッター、ライトガイド、硝子体鉗子も非常に優れたものが開発されている。硝子体手術装置本体も5000cpmのカッターが使用できる次世代の装置が市販されている。
 極小切開硝子体手術の普及とともに、シャンデリア照明が可能なキセノン光源装置と広角眼底観察システムが普及しつつある。25ゲージや23ゲージのシステムでは剪刀を用いず、両手法により増殖膜を処理するためにキセノン光源によるシャンデリア照明が必須となる。また、眼球を回転させずに広視野で周辺部まで眼底を観察できる広角システムも極小切開硝子体手術との相性がよい。一昔前には20ゲージで数種類のコンタクトレンズを使って手術をしていた症例が、現在では25ゲージで広角観察システムのみで手術できる時代となった。
 また、透明な硝子体ゲルや網膜内境界膜を薬剤にて可視化して手術を容易にする手技が一般化してきており、chromovitrectomyという言葉も生まれている。
 このような硝子体手術の新しい流れについて、ビデオを供覧しながら解説したい。