第244回長野県眼科医会集談会 特別講演

緑内障性視神経症の病態とその評価

金沢大学 眼科 杉山和久

 原発開放隅角緑内障(広義)の特徴は、「緑内障性視神経症(Glaucomatous Optic Neuropathy: GON)とそれに対応する視野変化」につきる。GONを引き起こす第一の原因は慢性的な眼圧上昇で、これによって視神経乳頭の篩状板は後方へ湾曲し、篩状板において網膜神経線維(網膜神経節細胞の軸索)が周囲のグリアなどの支持組織や血管組織とともに障害され、軸索輸送障害などが起こり網膜神経節細胞の細胞死(アポトーシス)を来たすと考えられている。そして、網膜神経線維が進行性に脱落し、特徴的な視神経乳頭陥凹の拡大(乳頭縁の菲薄化)や網膜神経線維層欠損が生じる。これがGONの病態であり、サルの慢性高眼圧モデルで実験的にGONを再現することができる。
 本講演では、GONの評価法としてステレオ眼底写真の読み方、HRT-3,3D-OCTなど最新の画像解析での評価法を解説する。また、3D-OCTと眼底像視野計を組み合わせたOCT対応眼底視野計を考案し、GONの構造と機能の関係を同時評価したので報告する。