第247回長野県眼科医会集談会 特別講演

眼内レンズの選択−術後視機能の視点から−

永田眼科 永田 豊文

 現在、日本で使用可能な眼内レンズ(以下IOL)は多数あり、さらに新しいモデルが開発中である。このような状況下で、我々は何を評価点としてIOLを選択すべきかは悩ましい問題である。演者はこれまで、術後の視機能に影響を及ぼすIOLの因子について検討してきた。その中には、球面収差・色収差・着色などIOL固有の光学特性、グリスニングやホワイトニング等に関係する材質や製造法のメカニズム、さらにIOLと水晶体嚢との物理化学的・細胞学的なアンバランスがもたらす後嚢混濁・前嚢収縮・レンズ偏位等の合併症がある。これらの問題点は研究者やメーカーの努力によって克服しつつあるものの、未だ理想的なIOLは登場していない。極言すれば、現在のIOLはいずれも、その視機能のパフォーマンスにおいてPMMA製IOLを凌駕するに至っていない。このような状況においても、我々はIOLを選択し、患者に挿入しなくてはならない。本講演では、現在の様々なIOLを臨床的に比較し、その差がどの因子から発生するのかを考察する。特に、視機能に多大な影響を及ぼす後発白内障(後嚢混濁)については、シャープエッジを中心に多角的に検討を加えたい。