第248回長野県眼科医会集談会 特別講演

OCTによる緑内障経過観察と予後予測

井上記念病院 藤本尚也

 近年OCTは緑内障診断に寄与してきたが、あくまで補助的なものとして緑内障診療ガイドラインに記されている。しかし小乳頭、豹紋状眼底の近視眼では、OCTによる緑内障診断は容易となり、他疾患との鑑別もできる。構造と機能という観点からOCTと視野の一致が緑内障診断に寄与し、その不一致は緑内障予後予測につながる。OCTが異常である半視野正常部位は、3年間で約3割異常を呈する。OCT黄斑部網膜内層厚解析にて乳頭黄斑線維障害を検出しうるが、中心視野ではその異常率は低く、将来的な中心部視機能異常をOCT異常で予測しうる。眼底での緑内障経過観察は、従来眼底写真で行われていたが、再現性の良好なスペクトラルドメインOCTの開発により、定量的に変化解析可能となってきた。全体の指標(網膜神経線維層、網膜神経節細胞層など)、局所指標(セクター)のトレンド解析、またソフト(Cirrus OCT GPA)によるイベント解析により、緑内障の経時的構造変化が、明確にわかるようになった。OCT障害進行による緑内障の確定診断も可能である。またOCTの障害進行部位も将来の視野異常を予測しうる。OCTを1回測定という横断的な緑内障診断だけでなく、定期的に測定して確定診断、経過観察、治療効果判定、予後予測に応用し、臨床上役立てることを推奨する。