第248回長野県眼科医会集談会 特別講演

新しい緑内障治療における緑内障ドレナージ手術の位置づけ

東京女子医科大学糖尿病センター眼科教授 北野滋彦

 昨年の6月に保険収載されたアルコンエクスプレスTMは従来の線維柱帯切除術と比較すると侵襲の少ない手術として急速に普及してきた。本手術は術中に房水が流出する原因となる線維柱帯と虹彩切除をしなくて良いので深い前房を維持し眼圧変動を軽減でき、その点で緑内障眼に優しい手術となった。
 その他に、この2年間に保険収載された緑内障手術にはトラベクトーム(trabeculotomy by internal approach)とバルベルト緑内障インプラント(long tube)もある。また薬物治療では配合剤点眼薬によりアドヒアランスの向上という大きな武器も得た。 一方では、画像解析などにより緑内障診断技術も進歩し若年層から長期間にわたる生涯治療戦略を組み立てられる時代が到来した。
 そこで、今回はアドヒアランスの向上に始まり、アルコンエクスプレスTMを含めた新しい緑内障治療をどのように使い分けるべきなのかという講演をしたい。