第260回長野県眼科医会集談会 特別講演

黄斑疾患外科治療の最近の話題

富山大学医学薬学研究部 眼科学講座  教授  林  篤志

 この数年で黄斑疾患の診断、治療は大きく変化した。まず、OCTの解像度が格段に良くなり、個々の病態における黄斑部の変化を詳細に観察できるようになった。以前からある網脈絡膜血流を測定するレーザースペックルフローグラフィー以外にも、最近では補償光学眼底カメラによる生体眼における視細胞の直接観察、オキシマップという網膜血管の酸素飽和度を測定できる眼底カメラが臨床で使用されるようになり、黄斑疾患や網膜変性疾患、網膜循環障害の病態をさらに詳細にとらえることができるようになった。これらの新しい診断機器を用いて網膜疾患の評価を行っているので紹介したい。
 また、黄斑疾患の手術治療では、硝子体手術システムや周辺機器の進歩により、全体的な手術成績が向上しているだけでなく、inverted ILM flap法などの新しい手技により、従来成績不良であった疾患に対しても治療成績が向上している。CRVOに対しては新しい血管内手術も行われており、現在、我々が行っている手術方法について、まとめながらお話したい。
  最後に、黄斑円孔術後に視力改善が不十分な症例に対して眼底微小視野計を用いて行った視力訓練の効果についてもお話したい。