第262回長野県眼科医会集談会 特別講演
信州大学における緑内障診療の変遷
信州大学眼科 宮原 照良
緑内障の治療は唯一眼圧を下げることのみがエビデンスのある治療法であるとされ、点眼、内服、レーザー治療、観血的手術と様々な手立てがあります。
「できれば濾過手術は避けたい」というのが、医療者側にしても患者さん側にしても共通して思うところではないでしょうか?
今後進行するのか、現時点でどれだけ危険な状況であり将来どのように困るのか、などということが客観的にわかりやすく言えれば、観血的緑内障手術(特に濾過手術)をいつ行うべきか、あるいは現時点では不要である、という結論を導きやすくなると思います。
近年の目覚ましいOCTの進歩によって、視神経の定量性が向上し、緑内障のスクリーニングから、経過観察まで使えるようになってきています。
外来眼圧はいつも低いようですが、負荷試験や眼圧日内変動を測定してみると、眼圧が高いシーンがあることがわかったりします。
信州大学では、手術適応の判断に迷ったら、ほぼルーチンに負荷試験や日内変動を測定していますが、それには大変な労力が必要です。
ウエアラブルコンピュータ・センサーが実用化されつつある昨今、コンタクトレンズで”眼圧”がモニタリングできる兆しが出てきました。
あるいは、icareHOMEによって、入院しなくても眼圧日内変動がある程度測定できるようになってきております。
このような客観的な情報を利用することによって、適切な治療法を検討できる時代になってきていると感じております。
治療方法においては、緑内障点眼薬の選択肢が増加したのみならず、エクスプレスやバルベルトなどの緑内障インプラント手術などの手術療法の選択肢も増えてきております。
そのあたりのことを、信州大学の緑内障診療を振り返ってお話させていただきます。