第265回長野県眼科医会集談会 特別講演

「日内変動を考慮した薬物療法」

原眼科病院 院長 原 岳

眼圧は24時間単位で周期性の変動を示すことが知られている。これには毛様体での房水産生の変動が関与していると考えられている。 さらに眼圧は姿勢によっても変化することが知られており、これには上強膜静脈圧の変化が関与すると考えられている。
同一姿勢における眼圧の変動は理論的には昼に高く、夜に低くなるが、姿勢変動を加味して変動を再構成すると、NTG患者では夜間に最高値を示す症例が多い可能性がある。
従来の報告では、PG製剤は昼夜同様に一定の眼圧下降効果を発揮するが、β遮断薬、α刺激薬などの交感神経作動薬は昼に比べて夜間の眼圧下降が弱い、これに対して炭酸脱水酵素阻害薬は夜間の眼圧下降が期待できる。
外来診療時の眼圧が下降の目標眼圧を達成していても、視野障害が進行する症例では日内変動を測定し、夜間眼圧上昇の可能性を考慮することは重要であり、日内変動に応じて、適した薬剤選択も重要である。