第295回長野県眼科医会集談会・第56回信州臨床眼科研究会 一般講演抄録
黄斑浮腫を伴う網膜静脈分枝閉塞症に対するファリシマブへの切り替えによる短期成績
諏訪赤十字病院 伊藤 駿、高野 大樹
信州大学医学部 平野 隆雄、村田 敏規
信州大学医学部 平野 隆雄、村田 敏規
【目的】 VEGF薬の投与間隔延長が困難な黄斑浮腫を伴うBRVO-MEに対してファリシマブへ切り替えた症例の短期成績を検討する。
【対象と項目】抗VEGF治療開始後6か月以上経過し投与間隔が2~3か月であるBRVO-ME症例のうち, 2024年4月から2024年8月の期間に諏訪赤十字病院にてファリシマブに切り替えた症例を対象とした。切り替え前の最終投与時(V1)とその2か月後(V2),切り替え時(V3)とその2か月後(V4)の各時点における,最高矯正視力(BCVA)および中心窩網膜厚(CMT)を比較した。少数視力はLogMARに換算し統計解析を行った.。
【結果】11例11眼(平均68±10歳,女性8人)が該当した。切り替え前の薬剤は11例ともアイリーアで,切り替え前までの累計注射回数は平均8.3±4.6回,直近6か月間の注射回数は平均3.1±0.9本であった。平均BCVA(LogMAR)はそれぞれV1:0 .29±0.30, V2:0.23±0.26 V3:0.25±0.28, V4:0.23±0.28であり, どの2つの時点を比較しても有意差はなかった。中心窩網膜厚はそれぞれV1:345±107μm, V2:356±114μm, V3:378±120μm, V4:317±58μmであった。V3とV4のCMTでのみ有意差を認めた(p<0.05).。
【結論】投与間隔の延長が困難なBRVO-MEについて,ファリシマブへの切り替えは黄斑浮腫の軽減効果が期待でき。長期予後については今後の検討が望まれる。