第295回長野県眼科医会集談会・第56回信州臨床眼科研究会  一般講演抄録

糖尿病患者の中心窩網膜厚測定における眼軸長補正の影響

信州大学眼科 梶原 伸吾、平野 隆雄、武川 修治、知久 喜明、柿原 伸次、星山 健、村田 敏規

【目的】 Glauvas OCTに搭載された眼軸長補正機能により糖尿病患者の中心窩網膜厚(CMT)測定における補正の影響を検証すること。
【対象と方法】 2023年11月から2024年11月までに糖尿病患者を対象にGlauvas OCT (Nidek社)でCMTを測定.自動的に評価されるETDRSサークルの直径1mm範囲内の平均網膜厚をCMTとして, 眼軸長補正なし(眼軸長は24mmで固定), ありのそれぞれで計測. 既報をもとに短眼軸(<23mm), 正常眼軸(23-25mm), 長眼軸(>25mm)に分け, 眼軸長補正の有無でのCMTの差の絶対値を誤差として比較。 糖尿病黄斑浮腫(DME)をCMT 320μm以上と定義し, 各群におけるDME患者数を求めた.。
【結果】101例101眼(男性64例, 女性37例, 64.5±10.9歳, 眼軸長24.0±1.1mm)を解析対象とした.短眼軸13眼, 正常眼軸72眼, 長眼軸16眼であり, 補正なし・ありそれぞれのCMTは短眼軸で316.4±82.1μm, 319.5±80.1μm, 正常眼軸で302.5±88.8μm, 303.1±88.8μm, 長眼軸で298.2±40.1μm, 294.8±39.4μmであった。誤差はそれぞれ3.1±2.8μm, 0.5±1.6μm, -3.4±2.0μmであり, 短眼軸・長眼軸では正常眼軸と比較して有意に誤差が大きかった (p<0.05). DME患者数は短眼軸で4例, 正常眼軸で23例であり補正の有無で変化しなかったが, 長眼軸では補正なしで5例, 補正ありで4例となった。
【結論】短眼軸・長眼軸では眼軸長補正の有無で平均3μmの誤差を示した. CMTの誤差はDMEの診断・治療に影響を与える可能性がある。