第295回長野県眼科医会集談会・第56回信州臨床眼科研究会 一般講演抄録
持続血糖測定器を使ったトリアムシノロンテノン嚢下注射による血糖変動の評価
信州大学眼科 土屋 彩子、平野 隆雄、知久 喜明、高橋 良彰、星山 健、村田 敏規
【目的】糖尿病黄斑浮腫(DME)患者に対するトリアムシノロンテノン嚢下注射(STTA)が血糖変動に及ぼす影響を、持続血糖モニタリング(CGM)を用いて検討すること。
【方法】DME患者16例に対してSTTA注射を行い、FreeStyle Libre 2 CGMシステムを用いて注射前後1週間の血糖変動を測定した。評価指標は既報に沿って血糖が目標範囲(70-180 mg/dL)を超える時間の割合(TAR)、範囲内の時間の割合(TIR)、および範囲未満の時間の割合(TBR)を用い、STTA注射前後の1週間の平均値を比較した。また平均値の差をそれぞれΔTAR、ΔTIR、ΔTBRと定義し70歳以上と70歳未満で比較した。
【結果】糖尿病患者16人16眼を対象とし、平均年齢65.5±8.7歳、男性8人、HbA1c 7.9±1.2%であった。TARはSTTA注射前29.8 ± 31.1%から注射後35.1 ± 30.2%へと有意に増加した(p < 0.05)。TIRとTBRの変化に有意差はなかった。70歳以上では70歳未満と比較してΔTARが有意に大きく(12.0 ± 9.8% vs. 0.0 ± 6.4%、p < 0.05)、ΔTBRが有意に小さかった(-4.8 ± 7.2% vs. -0.9 ± 3.3%、p < 0.05)がΔTIRに有意差はなかった。
【結論】DME患者ではSTTA注射後に有意な血糖上昇を認め、特に高齢者で上昇幅が大きかった。