第295回長野県眼科医会集談会・第56回信州臨床眼科研究会 特別講演

新しくなった加齢黄斑変性の診療ガイドライン

高知大学医学部眼科学講座 教授 山城 健児

 日本では2008年に加齢黄斑変性(AMD)の診断基準に関するガイドラインが発表され、2012年にはAMDの治療指針に関するガイドラインが発表されている。2008年の診断ガイドラインでは、軟性ドルーゼンと網膜色素上皮異常を前駆病変と呼び、脈絡膜新生血管(CNV)か地図状萎縮(GA)を生じた段階のみをAMDと呼んでいた。しかし、欧米では2000年ごろから前駆病変を認める段階をearly AMDとintermediate AMDに分類し、CNVやGAを認める段階をlate AMDと呼ぶようになっていた。その後、CNVはMNVと呼ばれるようになり、CNVの治療前後に生じる萎縮性変化をGAと区別するために黄斑萎縮と呼ぶようになり、さらにパキコロイドと呼ばれる病態の概念も登場してきたため、診断基準に関するガイドラインを改訂する必要が出てきた。また、2012年の治療ガイドラインが発表された当時には、抗VEGF薬の種類が限られており、一部のAMDに対しては光線力学療法(PDT)の使用も推奨されていたが、その後の新しい抗VEGF薬が登場し、治療指針についても見直しが必要となってきた。本講演では7月にオンライン先行公開され、9月号の日眼会誌に掲載された新生血管型AMDの診療ガイドラインについて、変更点をまとめて解説したい。