第296回長野県眼科医会集談会  一般講演抄録

緑内障手術update

北里大学医学部眼科学 主任教授 庄司 信行

眼圧下降を目的とした緑内障手術は、進行抑制が目的でありながら、濾過手術のようにかえって視力低下が生じるリスクが高い手術もあり、踏み切るタイミングが難しい。2010年に我が国で線維柱帯切開術(眼内法)が導入され、そのときから低侵襲緑内障手術(MIGS)が普及してきたが、視機能への影響は少ない分、眼圧下降効果は不十分な場合もある。こうしたローリスク・ローリターンの手術とハイリスク・ハイリターンの手術の合間を埋める術式が近年導入されるようになった。いわゆるステントを用いた術式である。今回の講演では、MIGSから従来の線維柱帯切除術の利点と欠点を考え、新しい術式の知見を加えながら、私自身の手術適応について述べてみたい。