第298回 長野県眼科医会集談会 特別講演抄録
水晶体研究から考えた眼内レンズ脱臼予防戦略
東京慈恵会医科大学 増田洋一郎
日本における高齢化の進行に伴い白内障手術件数は年々増加している。手術手技は成熟の域に達しつつあるが、眼内レンズ (IOL) の偏位・脱臼といった晩期合併症はいまだに十分な解決が得られていない。実際に、白内障手術の増加と並行して、IOL脱臼に対する再手術件数も年々増加傾向を示しており1)、本合併症の予防は眼科領域における重要な課題の一つといえる。
このIOL脱臼を未然に防ぐにはどのような戦略が必要なのだろうか?本講演では、これまでに行なってきた水晶体の形態学的・病理学的研究から得られた知見をもとに、脱臼発症のリスク要因を再考し、それに基づいたIOL脱臼予防への戦略を考えてみたい。
1) 厚生労働省:NDBオープンデータ
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)