第299回 長野県眼科医会集談会・第58回信州臨床眼科研究会
一般講演:信州大学眼科における甲状腺眼症の新薬「テプロツムマブ」の導入

信州大学眼科 武川修治、増尾史織、村田敏規
信州大学耳鼻科    吉村豪兼
信州大学内分泌内科  河合裕子
まつもと医療センター 黒川徹

緒言,目的:
テプロツムマブは完全ヒト型抗インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)モノクローナル抗体で、眼窩線維芽細胞表面のIGF-1Rと結合して眼窩炎症を抑制すると考えられている甲状腺眼症に対する新薬である。 信州大学眼科(以下,当科)では、活動性甲状腺眼症に対して、テプロツムマブの導入を行った。当院での導入に向けた体制整備および症例の治療経過について報告する。
症例:
36歳男性。バセドウ病の治療中に左眼の眼球突出と上方視時の複視を自覚し前医を受診。甲状腺眼症と診断され加療目的に当科を紹介受診した。初診時、」Clinical Activity Score(CAS)は4点、,左眼に上転障害を認め、MRIでは左眼優位の両眼下直筋腫大および高信号、TSAb高値を認めた。患者がテプロツムマブによる治療を希望したため、本薬剤の導入をすることとした。導入に際しては、薬剤部との調整、耳鼻科カンファレンスでの聴力評価依頼、糖尿病・内分泌内科への薬剤採用の連絡を行った。初回および2回目は眼科病棟での入院下にて、3回目以降は外来にて投与とした。薬剤の調製は看護師が担当する体制とした。症例は全8回のテプロツムマブ投与を行い、眼瞼腫脹は軽減し、左眼の上転障害はわずかに改善した。治療期間中、他診療科や治療スタッフ間で運用上の問題も生じなかった。そのため2例目、3例目も同様の方法で投与を開始した。
結論:
テプロツムマブ導入には、事前準備と円滑な連携が重要と考えられた。