第54回 長野県眼科フォーラム 特別講演

小児眼科の最新トピックス

国立成育医療研究センター 眼科 吉田 朋世

 本講演では、近年の小児眼科トピックスを複数挙げて解説していく。 未熟児網膜症では、近年抗VEGF 薬の治療が解禁された。 元来光凝固や硝子体手術が必要であり、大きな視機能障害が残ることも少なくなかったが、 治療の導入により多くの症例が重症化を免れるようになった。 一方で、 治療後も正常な血管進展が得られず無血管野が残存したまま退院する症例も少なくない。この治療が将来までどのような影響を及ぼす可能性があるか、 実例も含め解説する。 スマホ内斜視では、スマートフォンの過剰使用が急性内斜視を引き起こす可能性があると 2016 年に報告されて以来、本邦を含め世界中で報告が増えている。 特にコロナ禍を経て小児のデジタル機器の使用頻度が急上昇し、それに伴い症例増加もあると報告されている。この病態と、 小児・家族への指導法について解説していく。 3歳児健診における屈折検査は、 小児期の弱視を発見するうえで非常に有用な方法であり、 長野県でも多くの自治体が採用している。一方で、 屈折検査のみでは発見できない弱視の症例や、 両乱視での偽陽性率も高いなどの問題点も残っている。講演では3歳児健診で異常が見つかった場合に注意すべきポイントや眼鏡処方の仕方について解説を行う。